あべかわ、ナンパを学ぶ④
結局、思い切って飛び込んでみることにした。
出費は5万はつらいが、ほんものだったらもうけもの。
仮に騙されてたとしても、何年後にかは話のネタにでもなるかなといった気持ちだった。
当日までをわくわくと不安な気持ちが入り混じった状態で待つこととなった。
申し込みから声掛け講習まではおよそ1週間ほどであった。
そして、当日となった。
私は少し早めに待ち合わせ場所につき、ナンパをレクチャーしてくれるという人物の到着を待った。
事前に交換していたLINEへメッセージが届く。
「向かいのカラオケ9階の911号室にいます」
ついに初対面となる。
声掛け講習申し込みの際に、少しメール・ラインをやり取りしたくらいの関係であるので、彼のことはまったく知らない。
彼の年齢や風貌はまったく想像できなかった。
ナンパ師といえばチャラついたイメージがあるが、彼もそうなのだろうか。
それとも意外と好青年タイプなのだろうか。
年齢はいくつくらいであろうか、、、
まぁ、ここで考えたところでしょうがないと再度指定された場所へと向かった。
急いで道路を渡り、向かいのカラオケについた。
受付にて、待ち合わせである旨を伝えエレベーター前で待つ。
今日、自分に声かけ講習をしてくれるナンパ師である彼は「佐藤」という名前で活動を行っている。ナンパ業界ではかなりの有名人らしくネット調べればすぐにヒットするような人物だ。自分が彼を知ったきっかけは彼が書いたナンパ教本であるのだが、実際に会うのは初めてでありかなり緊張を覚えた。
少し待つとエレベータが下りてきた。
それに乗り、彼が待つ階へと上がった。
9階に到着し911号室の前に立った。
扉を開けば、佐藤氏がいるはずだ。
もしかすると自分の人生を変えるきっかけをくれるかもしれない人物だ。
より緊張が高まる。
意を決し、扉の中へと入った。
彼はそこにいた。
一流ナンパ師の佐藤氏。
見た目は想像より若い?さわやかなお兄さんという印象だった。
自分が部屋に入ると彼は自己紹介をしてくれた。
「はじめまして。佐藤です。」
それに応じて自分も自己紹介をする。
「あべかわです。今日はよろしくお願いします。」
あいさつを終えた私が席につくと佐藤氏が尋ねてきた。
「あべかわさんは、どうして今日の声掛け講習に申し込んでくれたの?」
自分が申し込んだ理由は、単純に女性にモテたいからだった。
もっと素直に言うと、たくさんの女性とSEXがしたかった。
ただ、それを正直に言うのは気恥ずかしく後ろめたい気持ちがあった。
「かわいい彼女が作りたくて、今まで彼女ができたことないんですよ」
結局、正直には言えず少し表現を濁し当たり障りのない?返答をした。
しかし、佐藤氏はそんな自分の心を見透かしていた。
「へぇ~、そうなんだ。やりたくはないの?」
つづく